“九高しぐさ”ミニ講話を始めます。本日の“しぐさ”は、「九高生よ!“礼節”を尽くせ」です。
礼節とは、「社会の秩序を守るための礼儀作法を節度のある行動で実践すること」です。一般に相手の感情を理解して行動することを「礼儀」と呼び、あいさつや言葉遣い、服装等、社会の中には相手を敬うための様々な礼儀作法が存在します。そしてその礼儀作法に、相手に敬意を表す節度ある行動がプラスされることによって生きた礼儀作法となります。この節度のある行動によって洗練された礼儀作法が“礼節”です。形だけの礼儀、すなわち、見た目や敬語を使うことだけでは礼節を尽くしているとは言えません。皆さんが毎日授業開始と終了時に実施している“礼”を考えてみましょう。学級委員の短切明瞭な号令のもと、クラス全員が一糸乱れぬ立ち居振る舞いで先生方に礼をする。礼をする際には大きな声で「お願いします」「ありがとうございました」と、先生方に敬意を払い感謝にあふれた言葉を心の底から発することができて初めて“礼節を尽くす”と言えるのです。いつ言葉を発したかわからない学級委員の号令、だらだらと起立してきちんと礼をしないまま、着席だけは一人前に誰よりも早い・・・。こんな状態では、“礼節”のかけらも感じられません。皆さんのクラスはどうですか?中国の“管子”という書物の中に、「衣食足りて礼節を知る」という言葉があります。この言葉は、「生活に余裕ができて初めて礼儀や節度をわきまえられるようになる」と解釈されているようですが、この解釈には注意が必要です。「衣食足りて」とは、欲しいものが何でも手に入り生活に余裕ができるという意味ではありません。生きていく上で必要最小限のものに満足し、それ以上を求めない境地を指します。ですから、「衣食足りて礼節を知る」という言葉は、どんな境遇にあってもその境遇を受け入れることによって人生の機微を知り、礼儀を重んじ節度ある行為を通じて、他に対し温かく心豊かに接することができるようになることを意味しているのです。“礼節を尽くす”とは、この境地に至ることです。世界の中でも非常に恵まれた環境にある日本は、物の豊かさに関しては決して他の国々に劣ることはありません。しかし、心の豊かさが失われていると言われており、「衣食足りても礼節を知らず」という状態が長く続いています。九高生にはこのような心の豊かさを失ってほしくない。きちんと“礼節を尽くす”ことのできる立派な社会人・立派な日本人であってほしいと思うのです。本日の九高しぐさ「九高生よ!“礼節”を尽くせ」は、皆さんが足ることを知り心豊かに人生を送るために、礼儀を重んじ節度ある行為をひたむきに実践することを目指したしぐさなのです。
さて、礼儀を重んじ節度を持った行動とは、具体的にはどのような行動を言うのでしょう。礼儀作法のひとつである“おじぎ”を考えてみましょう。おじぎをするという礼儀作法は誰もが知っていると思いますが、節度を持ったおじぎの仕方をきちんと理解し実践している人がどれだけいるでしょうか。皆さんはおじぎには3種類あることを知っていますか。それは“会釈”“敬礼”“最敬礼”の3種類です。“会釈”は上体を腰から15度くらい前へ傾け、日常の軽い挨拶をする時に用いられます。“敬礼”は上体を腰から30度くらい前へ傾け、相手に対して丁寧に敬意を表す一般的なおじぎです。“最敬礼”は上体を腰から45度程度深く前へ傾け、冠婚葬祭や感謝を示す時、お詫びをする時に用います。おじぎをする時に首だけ曲げてあごを前に出すようなしぐさは、気持ちを伝えるところか、礼儀知らずで相手をバカにしているような印象を与えます。“おじぎをすること”は礼儀作法のひとつ。それを知識として知っているだけでは不十分で、きちんと節度を持って実施できるようになることで礼儀作法に磨きがかかり、その動作に上品さが加わるのです。社会で一流と呼ばれる企業では、このようなおじぎの教育を徹底して行っています。上品で洗練された礼儀作法こそが、相手に礼節を尽くし社会で一流と認められる必須の要件だとわかっているからです。九高生も地域社会から一流と認められるように、日々実践している授業の開始・終了時の“礼”に、礼節を尽くしてもらいたいと思います。皆さんの言葉遣いにも“礼節を尽くす”ヒントが隠されています。最近の若い人がよく使う言葉遣い「すげえ、うめえ、こええ」等は、“べらんめえ言葉”と呼ばれていて、江戸下町の職人などの間で使われた、威勢のいい荒っぽい調子の言葉です。“べらんめえ”とは、「馬鹿め」を意味する「べらぼうめ」が変化したもので、相手を罵ることを意味します。そんな言葉を使っていては“礼節を尽くす”態度など養われるはずがありません。より洗練された上品な言葉遣いをするよう心がけましょう。荒んだ言葉を使用すると、皆さんの心まで荒んでしまいます。他にもコンビニやファーストフードなどの駐車場、駅のホーム等で平気で地べたに座って醜態をさらすジベタリアンや飲食物を口にほおばりながらあちらこちらを闊歩する人々等、日本人としての礼儀作法に反する立ち居振る舞いが目に余る世の中になってしまいましたが、「九高生よ!“礼節”を尽くせ」という九高しぐさを実践する皆さんは、常に洗練された礼儀作法を身に付け、節度ある行動を実践する求道者であってほしいと思います。「礼節」を知り「礼節」を実践して初めて一人前の人間といえるのです。
本日の九高しぐさは、「九高生よ!“礼節”を尽くせ」でした。次回の"九高しぐさ"は、「うそかまことか、九高生のものさし」です。