九高の四季

ブログの噺

「大人の感想」

 お昼休みに廊下を歩いていると、こんな女子生徒の会話が聞こえてきました。

 「幼稚園に行っていた頃のことかな。お誕生日のプレゼントとして、おばあちゃんからオルゴールを買ってもらうことになってデパートに行ったんだけど、予算に合うのが2つしかなかったのよ」「ふーん、それで?」「その2つから選ぶことになったんだけど、それがなかなか悩ましいのよ。オルゴールの1つは箱にキレイな白雪姫の絵が描かれていて、それはそれでいいんだけど、なぜかメロディーが『かわいいさかなやさん』なの」「すごいミスマッチねえ」「ところが、もう1つのオルゴールがもっとすごいの。3匹の子豚の絵に『エリーザのために』の曲なの」「うーん。それって選ぶのが難しくなかった?」「難しいなんてもんじゃなかったわよ。絵だけで考えると、白雪姫がいいに決まっているけど、音楽がさかなやさんでしょ?せめてエリーゼならよかったんだけど」「そうねえ。・・・子豚の絵とエリーゼもね」「でもね、どちらかを私に買ってあげたいというおばあちゃんの気持ちがひしひしと分かる気がして、断れなくなっちゃって、本当に困ったわ」

 幼い心に突きつけられた、「究極の選択話」に思わず耳が吸い寄せられました。

「それでどうしたの?」「結局、おばあちゃんから『どちらかにしなさい』って言われて、『どちらもイヤ』ってどうしても言えなくて、やっぱり絵がキレイだからって白雪姫を選んだんだけど、家に帰って箱のふたを開けてオルゴールを聞くと、思わずため息が出たわ」「それって仕方ないわよねえ」「それがね。この前押入れの整理をしていたら、そのオルゴールが出てきたのよ」

 オルゴールは壊れておらず、相変らず「かわいいさかなやさん」の旋律を奏でたそうです。

 「でもね、オルゴールのメロディーを聞いているうちに心が癒される気がして、オルゴールを作った人が、わざとそんなミスマッチをしたんじゃないかっていう気もしてきたわ」「ずいぶん大人の感想ね」「そうかもね」

 

 

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