九高の四季

九高の四季

2016年2月の記事

  • 2016年02月25日ブログの噺

    「トイレが違う」

     卒業式も間近になりました。

      例年、学年末考査が終了し、3年生が「家庭学習期間」に入ると、その掃除の担当区域を1年生と2年生が代わりに掃除することになり、1、2年生にとって「エキストラ」の掃除当番が増えます。

     「これが進級をする上での登竜門だな」「トウリュウモンって何ですか?」「竜が登って行く門だよ」「鯉の滝登りみたいなものですか?」「うーん。ちょっと違うけど、似たようなもんかな」

     教室で交わされた、不思議な会話が聞こえて来ました。

     ある1年生のクラスでは、本来自分達の担当としてトイレ掃除をしていましたが、さらに3年生の分も追加で清掃することになりました。

     「わー。また、トイレ掃除当番が増えるのかあ」「まるでトイレ専門のクラスみたいだな」「専門知識や資格を身に付けると、将来、役に立つぞ」「そんなライセンスいらねー!」「まあ、そう言わずに」

     担任の先生がフォローしても、生徒は口々に苦情を言います。

     ある日の放課後、掃除の前に集合させて、3年生のトイレ掃除の監督の先生が、当番の生徒に向かって言いました。

     「同じトイレでも、掃除の仕方とかまるっきり違うからね。野球と海の向こうのベースボールの違いを、身をもって知ってもらおう。今までのトイレ掃除は何だったのかと、トイレ掃除の概念が変わるくらい」「えーっ!」

     九州高校には「南館」と「本館」という2つの校舎があり、それぞれ建設された時期も違えば、当然、トイレの仕様も違い、掃除の方法も異なるのです。

     1年生の生徒は、口々でいろんなことを言いながらも、監督の先生の指示に従って、「エキストラ・トイレ」の掃除をしていました。その評判は大変良いようです。

     監督の先生が、担任の先生に言いました。

     「やはりルーキーは働きが違いますねえ」「ルーキーといっても、入学してからもう1年だからね。トイレが変わると人心が一新されるのかも」「トイレ掃除という点では、彼らにとっても、『大リーグ級』の技が身についたと思います」「そうだね。トイレも洋式が主流の時代だからねえ」

     トイレの噺だけに、さらっと流してみました。

  • 2016年02月18日ブログの噺

    「曲がり角」

     久しぶりの「噺」です。

     1月末の大雪のことです。

      「暖冬だ!暖冬だ!こんなに暖かくていいのだろうか!この調子だと、勘違いした桜が一か月くらい早く花を咲かせるぞ!!」

     と、こんな風に騒いでいたら、それをたしなめようとしたのか、「COP21国連気候変動枠組み条約締結国会議」担当の神様が、何十年ぶりというほどの豪雪をもたらしてくれました。しかしよく考えれば、突然の積雪は、「温暖化」に反することなので、きっと「担当者」はアマノジャクな性格なのでしょう。

     「基本的には平常授業をします。ただし、積雪の影響による交通混乱などで、どうしても通学できない生徒は自宅待機するように」

     問い合わせに対して学校からこんな指示があり、ある先生が朝のHRのため教室に行くと、鉄道やバスの遅延のため、3分の1くらいの生徒の席が空いていました。

     学校からの「通達」を知らなかった男子生徒が、担任の先生に言います。

     「すみません。ここにいなかったことにして下さい。・・・ドアが凍り付いて家を出られなかったということで」「それはダメ」 

     現時点で「身柄を拘束された」生徒は、「公欠」を認められず、「何ごともなかったように」授業を受けることになりました。

     納得がいかない生徒が言います。

     「それなら言いますけど、まだ来ていない○×君はボクの近所に住んでいて、徒歩だけでの通学です」

     思わぬ暴露情報が飛び交い、「クラスの友人関係に禍根を残さなければいいが・・・」と思いました。

     しばらくすると、公共交通機関の乱れにもかかわらず、徐々に生徒達が登校して来ました。

     それを見たある生徒が、こんなことを言いました。

     「こんなにみんなが学校に来ると、特別感がなくなる!」「そんなことを言うヤツこそトクベツだよ・・・」

     校舎からうっすらと雪景色をしたグラウンドを見下ろすと、「非日常的」というか、妙に心弾むものを感じるのは、前世がネコであるよりもイヌである人の方が多いことを示しているのかもしれません。

     一人の女子生徒がつぶやきました。

     「それでも、外に出て雪合戦する気になるのは、十代前半までですねえ・・・」

     昔の化粧品のCMではないのですが、高校生にとって「お肌の曲がり角」を迎えるまでまだまだ時間があるにしても、雪と戯れる気持ちは「曲がり角」の向こうに消えたようです。

     こんな声も聞こえました。

    「制服のスカートは寒くて寒くて・・・」「オバサンみたい」

     「オバサン」じゃないから、交わせる会話でしょう。

     

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