九高の四季

九高の四季

2014年9月の記事

  • 2014年09月25日ブログの噺

    「グレー・クマモン」

     その体格や大らかで包容力のある雰囲気のため、クラスの生徒から「クマモン」とニックネームを付けられている、人気者の若手の先生から、最近の「悩み」を聞きました。

     「クマモンのキャラクターイメージと異なる指導をする時、とても困ることがあるんです「そうかあ。たとえば、生徒に少々厳しい生活指導をしなくちゃならない時に、『クマモン』のキャラだとやりにくいよね」「真面目な指導をしているのに、生徒がニヤニヤしたら指導になりませんからね」「職員室にちょっと来いって呼んでおいて、『今日は、いつものクマモンの先生じゃないぞ』と、生徒に断りをいれるのも不自然だしね」「そこのとろころの切り替えが、とても難しいんですよ」

     確かに真剣な指導をする時に、「ユルキャラ」では締まらない感じになります。

     ここで提案をしてみました。

     「それじゃね、普段と違うクマモンを『ブラック・クマモン』と名づけて、真剣モードの時に登場させるのはどうだろう?」「でもですね、クマモンってもともと体が黒ですよね」「ああ、そうか。いつもクマモンはブラックか・・・」

     このアイディアは即座に却下されました。

     「そうですね。・・・そういえば、『グレー・クマモン』っていう手がありますね」「どんなの?」「体の色はいつもと変わらないんですけど、『先生は怒っている』モードの時は、普段赤いぽっぺたが灰色に変わるのはどうでしょう?」「それで、『今日の先生は違うぞ』と、生徒が察するわけね」 

     こんな会話をして数日後、当の先生が、職員室で「グレー・クマモン」に変身している姿を見ました。

     いつもとまったく違う厳しい声で、教育的指導をしている光景を目の当たりにして、週刊誌の見出しのように、こう呟いてしまいました。 

     「こんなクマモン見たことない!」。よく見ると、顔色がやや赤くなって、「グレー」というよりも「ピンク・クマモン」になっています。

     「なかなかモードのチェンジは難しいものだなあ・・・。いっそう着ぐるみを瞬間的に着脱可能なものにするか」。特撮モノのデイレクターのような悩みを感じました。

     ちなみに、先生本人は「クマモンキャラ」の自覚が大変強く、ネクタイにもワンポイントの「クマモン」が入っています。

     「イメージを守ること」と「教育のためジャガーチェンジ(豹変)すること」の相克に悩みながら、「クマモン先生」の戦いは続いています。 

  • 2014年09月18日ブログの噺

    「ワールドツアー」

     中学生が「体験入学」のため、連日本校を訪れています。これは先週土曜日に行われた「オープンスクール」とは別に、中学校単位で参加し、日常の高校生活を味わってもらうものです。

     「先生、今日はどこの中学ですか?」。中学生の姿を見て、こんな関心を持つ生徒もいます。「今日来ているのは、○×中学と△◇中学かな」「ああ、○×中なら、中体連の大会で試合をしたことがある」「そうそう。接戦で負けたけどね」。と、こんな「親近感」の持ち方もあるのです。

     先日、正門で朝の登校指導をしていると、体験入学に参加する男子中学生が5、6名、立っています。集合時間が近づいているのに引率の先生や他の生徒が来なくて、困っている様子です。

     「場所を間違ったのかなあ」「でも、ここ校門だよね」。こんな心細げな声が聞こえて来たので、声をかけました。

    「君達、九州高校の体験入学でしょ?」「はい」「集合場所はここ?」「校門のところって、なっているんですけれど」「そろそろ集合時間だよね」「ええ」

     すると、心配になったのでしょう。本校の担当の先生が、迎えに来てくれました。後に判明したところ、彼らの「集合場所」とは、JR九州高校口側の校門でした。職員室で、こんな会話をしました。

     「校門は校門でも、『集合場所』は、学校の反対側だったようですね」「事前に、『キャンパスツアー』が必要だったかも・・・」

     

     「キャンパスツアー」といえば、「体験入学」では午前中に「授業体験」があり、カフェテリア(学校食堂)での「昼食体験」の後、午後には「校内見学」を行うことになっています。

    この日も本校の先生がガイド役を務め、中学生が職員室にやって来ました。

     「こんにちは」「こんにちは」。中学生のあいさつの声が、元気よくフロアーに響きます。

     ガイドの先生が中学生に説明しています。「ここが職員室です。広いでしょ?みなさん、九州高校には何人くらい先生がいると思いますか?」「50人くらいですか?」「はずれ!その倍くらいの先生がいます。今は授業中なので、少ないですけどね」

     さらにガイドの先生が、サッカー部顧問の若手の日焼けした先生を指差して言いました。

     「いろんな教科の先生がたくさんいるけど、あの先生は何の教科だと思いますか?」中学生が答えます。「体育の先生ですか・・・」「違います。あんなに真っ黒に日焼けしているから、体育の先生だと思ったんでしょ?」「ええ」「あの先生は英語の先生です」

     ここで中学生に、さらに難しい質問がたずねられました。

     「では、なぜあの先生はあんなに日焼けをしているのでしょうか?」「・・・・・・?」

     「それはね、あのセンセイが世界を駆け巡っているからです」。・・・「キャンパスツアー」の途中で、急に本校が、「ワールドツアー」の高校になりました。思わず胸の中で、中学生に対してこんなフォローの言葉を呟きました。

     「外国航路の大型豪華客船の船長じゃないから、めったに世界を駆け巡ることはないけどね・・・」

  • 2014年09月11日ブログの噺

    「思い出は雨」

     体育祭の競技の出番を待つ、1年生の女子生徒たちのディスカッションが聞えてきました。

     「ハチマキは、こういう風に結んだ方が絶対にカワイイと思う」「そうかなあ。・・・こう結んで、髪をこっちからちょっと出したほうがもっとカワイイわよ」「○×ちゃんは、髪が長いからそうやると似合うけどさ」

     そんな声と姿に「女の子らしいなあ・・・」と微笑ましく思いながらも、空模様を考えると「ぐずぐずせずに、早く並べよ」と、選手召集係の教員として「迅速な行動」を促しました。

     ちなみに、「しょうしゅうがかり」という言葉が、自意識過剰のせいか、「消臭係」に聞こえる今日この頃です。このおかげで、「どうせ自分は嫌われ者だ」となぜか自虐的になり、「つべこべ言わずにさっさと並ばんかい!」と、「嫌われてもいいもん」というビジネスライクさに徹することができる気がします。

     天候に不安を抱えた体育祭がここ数年続いています。「不安定で安定している」というべきか、「『常にぶれている』という点でぶれない」この季節の気圧配置のせいでしょう。そもそも「今年は異常気象です」などといいますが、「『異常でない気象の年』が、人類史上どれくらいあるのだろうか」と疑問に思うくらい、最近では毎年「異常気象」に悩まされています。

     今年も、雨に影響を受けながら、体育祭が「無事に」、かつ盛会のうちに終了しました。天気予報どおり、昼過ぎに雨が降り始め、一時激しくなった雨脚に午後の行事の実施が危ぶまれましたが、少し昼休みを長くしたところで雨が止んで、最後まで体育祭を終えることができました。

     「雨男」という言葉があります。辞書によると「(なかば冗談に)その人が出かけたり、来たりすると、雨が降ると言われる男性」という意味です。ただし、「一匹狼の大群」が存在しないように、この時期に体育祭を行う、多くの高校の学校関係者が全員、「グループ・レインボーイズ」のわけはありません。女性の先生も多いので、事情はもっとややこしくなります。辞書に、「雪女」はありますが、「雨女」という語はないからです。

     「それにしても、体育祭が終わった次の日からまったく雨が降らないなあ・・・」「そうだねえ」。こんな生徒の言葉が、注射針が肌に刺さった瞬間のように、チクッと耳に痛くかんじました。

     「♪思い出はいつの日も雨♪」

     こんな歌のフレーズが、少しイイワケがましく、メロディー付きで頭を過ぎりました。

  • 2014年09月04日ブログの噺

    「コントロール」

     現在、天候不順に悩まされながらも、学内では体育祭の練習がどんどん進んでいます。

     夏休みを経て、久しぶりに「懐かしい顔」を見かけた女子生徒に、「少し夏やせした?」と話しかけてみました。いくら体重についての「印象」が「逆」を教えるとしても、高校生には、こうたずねるのが「定石」です。

     「残念だけど、全然食欲が落ちなくって、むしろ体重が増えました」「そうかな?」「ええ。ちょっとばかり器(うつわ)が大きくなった気がします」「うーん。精神的にも身体的にも、一番成長する時期だからね」

     スローカーブできわどく、話題の「芯」を外すことができるのは、ベテランピッチャーの技術です。波風立たずスムーズに、会話は続きます。

     「そういえば、お盆に親戚のおじさんに久しぶりに会ったら、『大きくなったねえ』って言われて、少しムッとしました」「子供の時と比べてだね」「まあ、そうですけれど、18歳のレディに言うべきことじゃないですよね」「うん、そうね。それで思い出したけど、40歳くらいの時、久しぶりに町内の人に会ったら、『大きくなったね』って言われたことがあるよ」「それもスゴイですね」「その人に最後に会ったのは、ボクが高校生の時だったらしいんだ」「なるほど」「でもね、その人はお年寄りになっていたので、『小さくなった』気がしたよ」。人の体格の印象にも、「相対性理論」が当てはまるようです。

      例年と違って雨が多く、気温があまり高くないのですが、それでもちょっと陽ざしが戻ってくると、生徒も先生も「テリヤキ状態」になります。

     こんな天候でも、紫外線は結構強く、終日外にいると、日焼けは避けられそうもありません。「昔の高校生」は日焼けなどまったく気にしなかった気がしますが、この頃では、「将来シミになったらイヤだから」などと言って、男女を問わず「スキンケア」に関心があるようです。ちなみに、中東の「チャドル」や「ブルカ」並みに、日光防止対策を講じている先生もいます。

     「日焼け」を話題のきっかけとして、生徒とこんな会話をしました。

     「それにしても、今年は『日照不足』だったね」「こんな天候だと、野菜の生育に影響があるでしょう?」「そうだね。植物の生長には、照り付ける夏の陽ざしが大事なんだよ。今年の陽ざしは、じわじわとじわじわと、まるで燻製を作るような感じだからね」「うーん。体育祭の練習期間で、低温でじっくり仕上がって、おいしい生ハムができあがりそうです。・・・材料は私なんですけど」「うーん。そうだね。・・・生ハムね」

     トピックが、ちょっと「インコース高め」に入りそうになりました。

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