九高の四季

九高の四季

2017年9月の記事

  • 2017年09月28日ブログの噺

    「サンドイッチ」

     職員室である先生が、昼食にサンドイッチを食べながら、隣の机の先生に言いました。

     「昨日、先生がサンドイッチを食べているのを見て『おいしそうだなあ。明日、必ずサンドイッチを食べよう』と考えていたんです」「頭に浮かんだ考えを覚えていて、次の日にそれを確実に実行するというのはすごいですねえ」「そうですか。まあ、ちょっとした『自己実現』を果たしただけですけどね」

     さすが進路指導部の先生です。いつも生徒に指導していることを、ごく身近なことで実践したのでしょう。

     「ちょっと身近過ぎる自己実現だけどなあ・・・」その後、先生はこんな「自己反省」も忘れませんでした。

     そういえば、台風が九州に上陸しそうになった時にも、その先生はこうつぶやいて、教育に対する意識の高さを示していました。

     「うーん。週末に九州をかすめるのか。部活の練習試合もあるのに困るなあ。台風にも進路指導をしたいくらいだ」

     その後、その先生が教室に行くと、生徒達が志望大学の選択について会話をしていました。

     「やっぱり大学の志望を決めるって、なかなか難しいよね」「そりゃね、通学範囲とか入試の難易度とか、考える材料となる諸条件があるけど、絞り込むのは簡単じゃないな」「いろいろ検討して、様々な条件をクリアーした上で、『ここらあたりの大学を受けるか』って考えるしかないのかなあ・・・」

     これを聞いて、先生は生徒にアドバイスしました。

     「進路の選択は、もっと主体的な意志で選ばないといけないよ」「でも、それってどうしたらいいんですか」「そうだね。やっぱり自分の将来の夢の実現を中心に考えるべきかな」「でも、夢を実現することって、とても大変ですよね」「それはそうだけど、そこが一番肝心なんだよ。自己実現のため、日々の努力を積み重ねる。たとえば身近な例でいえば、隣の人が食べているサンドイッチがおいしそうだなあと思ったら、明日、必ず食べるぞと決心して、それに向かってひたすら意志を保ち、確実に実行することだよ」「・・・・・・?」「ひとつひとつの小さなことの積み重ねが大切だからね」

     先生の力強いアドバイスの陰に隠れたちょっとした経緯を、生徒はまったく知りませんでした。

  • 2017年09月14日ブログの噺

    「グラウンド」

     久しぶりの噺です。皆様、いかがお過ごしでしたか。

      今年の体育祭は練習の段階から本番まで、まったく天候状態に悩まされることのないものでした。

     「こんなことは、開校以来おそらく初めてのことでしょう」体育祭の開会式の校長挨拶でも触れられました。「半世紀に一度あるかないか」・・・こう言うと、大変歴史の重みが感じられる、貴重な事に思われます。

     我が国は、四季の折々の自然の変化の美しさが満喫できる一方、気候や天候の安定性に欠くという弱みもあり、日本気象協会の「職員レクレーション・ソフトボール大会及びその後のバーベキューパーティー」が雨天で延期になったという「不祥事」が、密かに揉み消されたというウワサのあるお国柄です。

     そんな気象的な「国難」の中、今年度は見事な体育祭日和でした。当日、青空には雲一つない、いえ、白い雲が少しだけしかない、いいや、かなり大きな雲が広がっていたか。・・・つまり、自然とはなかなか相手にするのが難しいものですが、とにかく空にある雲などまったく気にならないくらい、体育祭のための絶好の晴天の一日でした。

     来校される保護者の皆様の数も年々多くなっていることが感じられ、グラウンド正面に張り巡らされたテントの中はもとより、キャンパス内のグラウンドを見下ろすことができる場所にも、ぎっしり人がいっぱいでした。

     昼休み前、職員室に戻ろうとした時、「先生」と呼びかけられて、声の方を向くと、「ご子息」が現在3年生に在籍する、本校卒業生でもある「お父さん」でした。愛嬌のある目元に、高校生の時の面影が残っています。ウワサに聞いていたので、「メモリー」を検索することなく、瞬時に誰か分かりました。

     「よく来てくれたね」「息子が入学して初めてなんですけれど、最後の高校の体育祭を見ようと思ってきました」「ずいぶん学校の様子も変わっただろ」「そうですね。もう卒業してから30年経ちますから」

     30年と聞いて、時間の経過の早さに驚きながら、「天候に悩まされない体育祭」の奇跡的なありがたさ(古文で「めったにないこと」)を思いました。

     「もう30年経ったら、雲の上から見下ろしているかもしれないな」こう言うと、「卒業生のお父さん」が励ましてくれました。

     「大丈夫ですよ。まだ先生はグラウンド(地上)にいますから」

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