造形芸術科の授業紹介⑧
授業名 構成Ⅲ(陶芸)
実施学年:造形芸術科2年生
担当教員:溝下 真一
実施時間:1週間に2時間 前期後期選択制
陶芸制作の基礎を学ぶ授業です。「粘土素材」「形成(形づくり)」「粘土乾燥管理」「装飾表現」を授業の中で取り組みます。本授業で体験する技法は、「玉づくり」「紐づくり(手びねり)」「板づくり」「電動ろくろを扱った造形制作」の4種類です。
その中で制作するものは、平皿、ごはん茶碗、小物入れ、マグカップなど、生活で使えるものを中心にしています。
「粘土素材」では、粘土は木材や紙とは異なり、形を自由に変形することができる特徴があります。芸術の分野では、陶芸と彫刻が主に粘土を制作素材として扱われています。これは、自由な発想でイメージし形成できることを気づかせる素材学習になっています。
「形成(形づくり)」では、粘土を接着するための技術を学び、使いやすさを追求したデザインを考えさせることにより、工業デザイン的な思考力を育むことができます。
「粘土乾燥管理」では、陶芸において、制作の中で一番大切なことは粘土乾燥管理であることを学びます。マグカップの取っ手をつける乾燥状態は半乾きの状態であり、ごはん茶碗などの底削りの乾燥状態も半乾きで行わないといけません。そのため、粘土の乾燥の速度を理解し調整することが大切です。また、粘土という素材は、空気が入ったり、形成の部位の厚みが異なったりすることにより、ひび割れや剥離、割れが生じることがあります。それらを未然に防ぐための方法をここで学びます。
「装飾表現」では、陶芸の世界では「模様」のことを「文様」と呼び、昔ながらの伝統的な文様が引き継がれています。本授業でも、文様制作では和柄を意識させており、青呉須を使い文様を描かせることで、オリジナルの陶芸作品に仕上げることができます。
これらの基本的なことを学びつつ、4種類の制作方法を習得します。
「玉づくり」といった粘土を球体から形成する技法。この方法は、失敗の少ない技法で誰でも簡単に仕上げることができます。
「紐づくり(手びねり)」は、弥生式土器や縄文式土器でも使用されている昔ながらの技法で、紐状にした粘土を使って器や皿などの形を形成していきます。
「板づくり」では、粘土を薄い板状に切り、組み立てて形成していく方法です。厚みも均等になるため、制作している最中でも割れにくい技法です。
「電動ろくろを扱った造形制作」は、技法の中でも習得が一番難しく、練習が必要な技法です。この授業においては、電動ろくろで回る粘土の素材を長い間触れさせることにより、粘土の形が変わっていく様子と手の力加減による形成の変化を体験させながら器を作らせています。
地中を掘ることによって粘土を手にすることができます。その粘土を素材として形成することにより、作品に命を吹き込むことができます。その作品に、自由な発想で文様を入れることにより、唯一無二の生活で使用できる道具となります。また、陶芸の作品の完成は、窯の焼成によって完成します。人の手の届かないところで火によって完成を迎えるため、陶芸の世界では「火の神」を敬う文化があります。この授業においても、陶芸概論として工芸制作で必要な意識を育むような授業を行っています。
美しくきれいな器は、どこにでも販売されています。しかし、少し曲がった不形態な器は販売されていません。その少し曲がった器は、人間と同じような、未完成な部分を持った作品と感じます。生徒たちには、水平、平行、直角ではなく「少し曲がっているぐらいが人らしくてよかよ」と伝えながら、完璧な形ではなく、楽しく追求できるように授業を行っています。
